おしゃれキャンパーが愛用するティピーテントとは? 魅力や使い方を徹底解説
雑誌などにも登場するおしゃれキャンパー御用達のティピーテント。ドーム型テントと双璧を成す、この三角屋根のテントについて、人気の理由や魅力を探ってみましょう。おしゃれキャンパーも御用達、ティピーテントとは?
雑誌などのおしゃれキャンパーを紹介する企画でよく見かけるトンガリ屋根のティピーテント。元々はアメリカの原住民が使う野営用の簡易型住居で、3本の木を組み合わせたところに布や動物の皮を被せたものでした。これを、中心に1本のポールを立てて円錐形の幕体を被せるという仕様にアレンジしたのが現行のティピーテントです。モノポールテントとかワンポールテントとも呼ばれています。
2000年代、ドーム型テントが主流だった時代に、トンガリ屋根の登場は衝撃的でした。おしゃれキャンパー御用達の『ノルディスク』の「ナンド(現行アスガルドの前身)」や「スー(アルフェイムの前身)」や、『キャンパルジャパン』の前身である『小川キャンパル』時代からリリースされている「ピルツ」シリーズがティピーテント草創期の人気モデルですが、なんといっても『DOD』(当時は『ドッペルギャンガー』)の「キノコテント」の登場は、ティピーテントの人気を爆発させました。今では2ルームテントと双璧を成す、人気のテントとなっています。
なぜ人気? ティピーテントが支持を集める理由
なぜティピーテントが人気になったのかというと、いくつか理由があります。まず、機能的な面からいえば風に強く破損しにくいという点が挙げられます。ドーム型テントも風には強いほうですが、強風にあおられるとフライシートが飛んだり、ポールがぐにゃりと曲がったりすることも。しかしティピーテントは円錐形で風を受け流しやすいうえ、360度ペグダウンするので風向きが変わっても耐風性に優れるのです。センターポールが高いと天井が高くなるので、壁に相当する部分も高いタイプなら室内が開放的というのも特徴的です。
そしてもう1つ、ティピーテント最大のポイントは、なんといっても“オーナーがキャンプ力をアピールできる”ことではないでしょうか。数本のポールをスリーブに通し、力を入れて湾曲させポールエンドを固定して立ち上げるドーム型テントは、場合によってはパートナーと協力したほうが立てやすいもの。しかしセンターポール1本で立ち上げてペグダウンするティピーテントは、1人でテントを立てられます。ソロキャンはもちろん、初心者や家族と行くキャンプなどで、オーナーの評価がグンとアップ。“テントを1人で立てられる”ことをアピールしたいキャンパーにとって、ティピーテントを選ぶのは納得できますし、最強なんです。そういう理由で、著者自身もティピーテントを愛用している次第です。
1人で立てられる! ティピーテントの設営方法
テント設営の際、ポールのスリーブを間違えたり、誤ってポールを曲げてしまったりという失敗をしたことがある方は多いかと思いますが、ティピーテントならそういう失敗はありません。キャンプ初心者でも簡単に立てられるんです。
手順1
フロア周りのペグは対角線状に打つ
ティピーテントは基本的にフロアが多角形もしくは円形状です。ルーフ部分はくしゃくしゃのままフロアを広げてペグダウンしますが、このとき対角線上にペグを打っていくことで、フロアがきれいに広がります。
手順2
センターポールを立てる
センターポールを持って幕内に入ったら、ポールの先端をトップに合わせ、グイッと持ち上げてフロアの中心に立てます。このときトップでない部分にポールを当てて持ち上げると幕体を破損してしまいますのでご注意を(著者は経験あり……)。フロアの中心がわからなくても、最後に修正ができますので、だいたいの位置でも大丈夫です。ただし、あまりにズレていると崩壊しますのでご注意を。ちなみに、フロアの中心はきちんと計測してからマジックなどでマークしておくと便利です。
手順3
ルーフの稜線から伸びる位置でガイロープをペグダウン
一般的なティピーテントは、円錐形の底辺部、つまり壁の上部との連結部分にガイロープが取り付けられています。このロープはルーフの稜線から真っ直ぐ引き伸ばした点でペグダウンします。これもフロアペグ同様に対角線上に打っていくのがポイントです。斜めになったルーフの途中に取り付けられているストームロープは、風が強いなどの天候状況に合わせて使いましょう。入り口にポールを使うタイプやインナーテントの有無によって工程数は異なりますが、最後にセンターポールの位置がフロア中心に来ているかどうか確認したら完成です。
より快適に。ティピーテントの上手な使い方を知っておく
1室構造のティピーテントは、基本的にドーム型テント同様、寝室として使いますので、調理やリビング用にタープを別に用意したほうが良いでしょう。テント内で過ごす時間を楽しみたいなら、専用のテーブルやギアを用意すると格段に使い勝手が良くなります。
ポイント1
タープは別途用意しましょう
2ルームテントならリビングスペースで食事など団らんして、寝るときはインナーを寝室に使いますが、ティピーテントは基本的に1室構造。そのためリビングスペースとしてのタープがあったほうが良いでしょう。キャノピー(ひさし部分)付きのティピーなら雨の日の出入りも室内に雨水が入り込みにくいように、タープをティピーと重ねて張る、“小川張り”を駆使するのもおすすめです。
ポイント2
ティピー専用のテーブルを用意
ティピーテントの使いにくい点の1つに挙げられるのが、センターポールが邪魔になるというもの。マットやコットで寝るスペースを確保したら、あとは荷物しか置けなかったり、特にルーフが下がっている周辺部分はデッドスペースになったりしがち。そこでセンターポールを取り囲むように設置できる専用の丸テーブルを用意しましょう。室内の使い勝手が飛躍的に向上します。
購入するなら3つのポイントをチェック。ティピーテントの選び方
キャンプブームに加え、人と違ったテントが欲しいという声に押され、さまざまなモデルが登場していますが、おしゃれさだけでなはないティピーテントの選び方についてご説明しましょう。
ポイント1
できるだけ大きいサイズを選ぶ
ティピーテントは大型のものが断然使い勝手が良いです。2~3人用ティピーだと、寝たときに脇腹あたりにポールがきますし、室内で座ったときも周辺部は荷物置き場にしかならず空間が狭くなってしまいます。大型ティピーなら、半分は寝るスペース、半分はリビングスペースとしても使えますし、縁のほうまで室内が広く使えますよ。
ポイント2
幕体の素材を吟味する
今でもティピーテントには、コットン幕と呼ばれるキャンバスコットン素材が使われたものが見受けられます。耐久性が高く、冬でも寒さをしのぐのに最適なのですが、重たいうえに雨が降ると幕に染み込んでめちゃくちゃ重くなります。素材は、どんなテントを選ぶ際にも大事なポイント。薄手で軽く、雨を弾く素材選びをおすすめします。
ポイント3
インナーテントとフロア別体型が機能的
ティピー型テントには、フロア一体型のものや、インナーテントが付いているものなど、さまざまなタイプがあります。なかでもフロア別体型は、フロアを外してテントの床面を全面地面にできるので、タープのように使うことが可能。インナーテントを取り付けるタイプも全面式、部分式とあり、部分式なら幕内をリビングスペースと寝室に分けて使えるので便利ですし、保温性が高いので冬のキャンプにも使えます。
知っておきたいティピーテントのデメリット。こんな人には不向きです
どんなテントにも長所があれば、短所もあるもので、完璧なテントは存在しないわけですが、ティピーテントのデメリットは、必ずペグダウンしないと自立しないというところでしょう。例えばドーム型テントなら、とりあえずインナーテントのスリーブにポールを通し、四角のポールエンドを刺せば自立します。気候が良ければフライを被せず、そのまま寝ることができますが、ティピーテントはペグダウンしないと室内が膨らみません。また先程使い勝手の部分で大型を選ぶべきと書きましたが、当然大型になればペグの本数も増えるので、設置もなかなか時間を要します。ペグ20本以上なんてのがザラですので。その分、耐久性に優れるうえに快適なので2~3日のキャンプで天候変化にも不安はありませんが、気軽なデイキャンなどには大げさすぎて、わざわざ持っていくほどでもないかな、という点は否めません。そのあたりもよく考えて選ばれたほうが良いでしょう。
ティピーユーザーの著者が厳選。ティピーテントのおすすめ10モデル
初期型のティピーに比べて、最近のティピーは機能的にも確実に進化しています。使い勝手を考慮しつつ、ティピーユーザーの筆者が実際に選ぶなら、という視点で選んでみました。
アイテム1
『ノルディスク』アルフェイム12.6
「アルフェイム」はティピーテントブーム草創期を担った「スー」の後継モデル。直径5m、6人用とかなり大型で居住性は快適です。壁がないので周囲はデッドスペースになりがちですが、それを補って余りある広さ。フロアはオプションですが、難燃性のコットン幕なので、中で小さく焚き火ができると評判です。
アイテム2
『ロゴス』ナバホEX
ワンポールなのにフルクローズできる前室付きという大型ティピー。フライシートに描かれたデザインは、『ロゴス』のマークとネイティブ風のストライプ柄がフィールドでも目立つはず。インナーテントは上部がメッシュ構造になっていて通気性抜群なうえ、サイドに電気コードを引き込む取り込み口を備えているところも使いやすそうです。
アイテム3
『キャンパルジャパン』ピルツ12
ペグダウンの本数を抑えた八角錐ティピーは、オプションのインナーテントが、フルインナーとハーフインナーとで選ぶことができます。フロアを開放したままなら、ペグ8本で立ち上げ可能。大型キャノピー(ひさし)は雨の吹き込みを避けたり、プライベートも確保できたりする仕様になっています。各部の通気性も頂上、上下とも良好なので薪ストーブだって使えます。
アイテム4
『チャムス』ブービーハウス
フロア一体型でインナーテントを使わないため設営が簡単な『チャムス』のティピーテント。同ブランドはアウトドア雑貨が人気ですが、こちらのテントは良くできていて、入り口はメッシュパネルで通気性も高い構造なうえに、五角形フロアなのでペグダウンが少なくて済むよう設計されています。それになんといってもこの外観。直径4mサイズの6人用ティピーで、このド派手な柄はフィールドで目立つこと請け合いです。
アイテム5
『ハイランダー』フィンガル
ポップアップテントにセンターポールを立てるというティピーテントでは珍しいデザイン。フロアレスだから、フライだけで広々タープとしても使用可能です。専用インナーテントを2つ取り付けることで寝室を2か所設置することができますが、小型のポップアップをお持ちなら、カンガルースタイルで使うのもおすすめ。それならテント設営の手間と時間が大いに省略できますね。
アイテム6
『ニュートラル アウトドア』TCテント4.0
火の粉に強いポリエステル・コットン(TC)生地を使っているため、テント近くでの焚き火ができます。耐水性はやや低めですが、湿気を吸うと繊維が膨張して水を通しにくくなり雨漏りを防いでくれます。ルーフの一部にて耐熱生地を使っているので、煙突を通すことができ、テント内で薪ストーブを使えるなど冬キャンプにも最適。別売りのインナーテントを吊るせば、寝室とリビングというようにフロアを区切ることもできます。
アイテム7
『テンマクデザイン』サーカスTC
ティピーテントの中でも特に人気のモデル。先程ご紹介した『チャムス』のブービーハウス同様、五角形のフロアは最低ペグ本数5本でテントが自立します。ただしこのテントは大型のキャノピーがポイントですのでフロントにポールとガイロープを使って、6本立てが正しい使い方。
アイテム8
『DOD』ショウネンテント
少年時代の秘密基地をイメージした珍しい四角形のフロアを持つ『DOD』のティピーテントは、バイクツーリングにも持っていきやすいソロテント。インナーテントはフルメッシュなので収納時も3.2kgと軽量なのですが、季節は春夏向きでしょう。グレーカラーは朝早く日が昇っても室内を暗いまま保てるので朝寝坊するのにも最適です。
アイテム9
『ローベンス』カイオワ
ローベンス社は1973年に創業したヨーロッパ有数のアウトドア企業。このティピーテントには、生地にローベンス社がオリジナルで開発したコットン35%×ポリエステル65%を混紡したハイドロテックスポリコットンが採用されています。フライシートの耐水性は驚異の5,000mmというハイスペックで、プロフェッショナルな登山家にも信頼される本格派。他とはちょっと違ったティピーをお探しなら、ぜひ。
アイテム10
『フィールドアー』ワンポールテント
なんと8人が寝られる大型ティピーは5m×5mのオクタゴン(八角形)フロア。インナーテントを取り外せば、大型シェルターとしてフィールドの宴会場に使えますね。幕体は裏面がシルバーコーティングされていて遮光性とともにUVカットの機能があります。最近流行りの遮光テントは、朝日で目が醒めてしまうことに悩んでいたキャンパーさんにおすすめです。
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ビジネススタイルからアウトドアまで幅広く執筆
池田 やすゆき
「FINEBOYS」編集部を30歳で独立。以後フリーのファッションエディター&ライターとして「MEN’S EX」「LEON」「GQ」「AERA STYLE MAGAZINE」など各メンズ誌・WEB版のほか、企業広告、オウンドメディアにて執筆。BBQインストラクター、第二種電気工事士など資格多数。目下の目標は危険物取扱者乙種4級取得。
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テント・タープ