キャンプで睡眠の質を上げる、コットの正しい選び方と使い方
キャンプをするなら寝袋を買い揃えようと思うのが普通だと思いますが、私ならコットをおすすめします。より快適に寝られるのはもちろん、何かと使い勝手が良く重宝します。快適な睡眠のため、だけじゃないコットの実力
キャンプ初心者なら、テントに寝袋があれば寝泊まりできると思っている方もいるかもしれませんが、はっきり言って幕内で寝袋だけでは、とてもじゃないけど眠れないものです。地面は硬いうえに、真っ平らなことはほとんどないので、傾いていたり波打っていたりして体がハマらずどうにも寝付けません。
最近はフロアレスのテントやシェルターも人気なので、そんな中で寝袋で快適に寝るためには、地面から順に、銀マット(地面からの熱気や寒気、湿気を遮断)→グランドシート(上に乗せるマットの汚れ防止)→エアマットまたは、インフレータブルマット(実質的なクッション)→ラグマット(マットを汚さない)→寝袋(実質的な寝具)というように、いろいろ買い揃えなくてはなりません。冬なら寝袋を二重にしたり、インナーブランケットを重ねたり。こんなに用意するのって、大変じゃないですか?
そこでコットの出番です。コットとは簡易ベッドのこと。地面の傾斜やくぼみなどを気にせず、岩場でも砂地でも、どこにでも広げて寝ることができます。基本的に布地にフレームと脚を取り付けた構造ですが、ベッド部分は一枚布なので体にフィット。通気性があるので暑い時期ならタオルケット1枚で十分涼しく寝られます。地面からの距離があり底冷えもしにくいので冬場にも活躍。「でも寝返り打てないじゃん?」と思われるかもしれませんが、ハンモックと同じ感覚であまり寝返りを打つことがないんです。
昼間はシェルフとして荷物置き場に使ったり、ベンチシートとしても使ったりできます。高さのあるタイプなら、コット下に荷物を置けるので、幕内を広々使えますよ。それに、テントの中は朝方になると湿気や夜露によって湿りがちで、寝袋が湿ると干したりするのも面倒です。乾くまで撤収できないのでは、半日潰れてしまうことも。でもコットなら地面から高さがあるため湿る心配ありません。組み立ても楽ちんですし、もうコットを使わない理由が見当たらないですよね。
コットを選ぶポイントは、「高さ」「広さ」「組み立てやすさ」
コット選びのポイントは3つ。高さ・広さ・組み立てやすさです。何を重視するかによって、選ぶモデルはおのずと決まってきますので、チェックしてみてください。
ポイント1
ベンチ使いもするならハイタイプ、安定感を求めるならロータイプ
ベッド面が地面から40cmぐらいあるハイコットは、ベンチとしても使いやすく、冬場も底冷えしにくいのが特徴です。ベッド下のスペースに荷物を置けるので、幕内を広々使うこともできます。組み立てやすいものが多く、女性でも簡単にワンタッチで設置できるものもあります。耐久性に優れるモデルが多いですが、その構造ゆえに大型になりがちで、折りたたんだときに結構なスペースをとるので車に積載しにくかったり、自宅の収納スペースに困ったりする場合も。
対してローコットは地面から20cm程度の高さなので、とにかく安定しています。多少斜めになっても倒れにくいですし、万が一転がり落ちても安心ですよね。幕内の高さをキープできるので、おしゃれキャンパーさんにも人気です。軽量でコンパクトに収納できるものが多いので、積載や収納もしやすく、登山にも持って行けるので何かと使い勝手が良いのですが、ものによっては脚のはめ込みに少々コツと力が要るものもあります。また夏場は地面からの湿気の影響をうけやすいので、銀マットがあると良いですよ。冬場は地面からの底冷え対策も必要です。キャンプをする時期と使い方、幕内のインテリアと相談しながら、どちらにするかを決めましょう。
ポイント2
寝やすいのは幅70cm以上、収納しやすいのは60cm以下
一般的なコットの幅は約60cm。これはシングルベッドが1m弱、ナロウシングルでも80cmということを考えると、ちょっと狭いですよね。ただ実際に寝転がってみると、体が安定するので寝返りも打たず熟睡ができるのですが、体を横に向けたり、起き上がるときにゴロリとしたりするのは難しいです。一方でコンパクトに収納できるものが多く、オートキャンプでの積載時や自宅での収納時にもスペースをとらない点は◎。コット幅が70cm以上あるものは快適性や使いやすさの問題は解決しますが、収納面でスペースが必要になるという問題が。特に都会のマンション住まいのキャンパーにとっては、収納問題は切実な問題ですよね。
ポイント3
初心者や女性には組み立てやすいタイプを
コットは慣れれば誰でも組み立てられますが、組み立てやすさも考慮して選びたいところです。特に初心者や女性にありがちなのが、固くて脚がなかなか入らないこと。一概にはいえないのですが、軽量なコットほど、強度を保つためフレームの組み立て方に少々力を要するものが多いようです。男性なら何度か使っているうちに慣れますが、女性キャンパーなら実際に店頭で体験してみて、改めて選定するのが良いかもしれません。購入したら、必ず実践前に家で練習を。実際、著者も1台目は何度も怪我しましたから。
コット寝をより快適にする4つのテクニック
普通はコットの上で寝袋を敷いたり、ブランケットをかけて寝たりするのですが、自宅のベッドで快適に寝るように、コット寝を快適にするテクニックをご紹介しましょう。1アイテム足すだけで、寝心地は格段にアップしますよ!
テクニック1
インフレータブルマットを用意すれば寝心地向上
コットはベッド面が布なので、そのままゴロンとしても問題ないのですが、やはり寝にくいという方もいらっしゃるかと。そこで、グランドシートの上に敷くインフレータブル式のエアマットを乗せることをおすすめします。地面に直接エアマットを敷くよりも、格段に寝床はやわらかくて快適に。こちらの写真のように最初から座面がインフレータブル式のものもありますよ。
テクニック2
メッシュシェルターで虫除け対策は万全に
最近はテントではなく、フロアレスのシェルターでキャンプする方も多いのですが、そうなるとむき出しの地面からの虫が気になるもの。そこで、虫除け用のメッシュシェルターの中にコットを入れることをおすすめします。夏場はテントなしでタープの下にメッシュシェルター&コット寝、なんてキャンパーもいますよ。
テクニック3
枕を用意して自宅のベッドと同じ寝心地に
コット寝のときも枕はあったほうが良いですね。キャンプ用のエア枕にはいろんな種類がありますが、個人的にオートキャンパーなら、普通の枕を持って行くのが良いと思います。キャンプ用のエア枕は素材にもよりますが、頭の位置を変えるとガサガサとうるさかったりしますので。
テクニック4
冬場は電気毛布やホットカーペットの利用を
コット寝は快適ですが、冬キャンプのときは装備が甘いと非常に寒いです。通気性が高いゆえに背中がスースーして仕方ないので、コットの上に電気毛布を敷いたりホットカーペットを使ったりしましょう。地面から距離があるほうが底冷えしにくいとは言いますが、寒さ対策はしっかりと。
3つの視点でチョイス。おすすめコット12選
ここからは、おすすめのコットを厳選してご紹介していきましょう。今回は「組み立てやすい」「コンパクトに収納できる」「広々快適」の3つの視点で選んでみました。
▼視点1:初心者や女性は「組み立てやすさ」で選びたい!
フレームの接続がしやすかったり、ワンタッチで開いたり、構造に工夫のあるタイプを選んでみました。初心者や、女性にはこちらをおすすめします。
アイテム1
『ハイランダー』レバー式GIコット
ワンピースフレームの脚を縮めた状態で帆布風のポリエステル生地をセット。本来であれば生地の垂みをなくすように広げる作業に力を要するのですが、こちらのコットはサイドのレバーをカチッと倒すことで、簡単に座面がパリッと広がります。端部分にフレームを使わないので、就寝時、頭をぶつける心配もなし!■サイズ長さ196×幅63×高さ36cm
アイテム2
『コールマン』コンバータコット
ビーチチェアタイプのコットなら、座面を三つ折りにして脚を折りたたむだけ。背もたれの角度調整も、ロック解除レバー付きで簡単。上半身を起こして寝転べるので、フィールドでのリラックス感も満点です。キャンプ時だけでなく、海へ遊びに行くときなんかにも持って行きたくなりますよね。■サイズ長さ194×幅64×高さ32.5cm
アイテム3
『クイックキャンプ』フォールディングコットQC-SC190
二つ折りのコットをパカッと開いたら、脚部を開くと座面が自然とパリッと広がる簡単設置。価格もリーズナブルなところが良いですね。サンド、ブラック、カーキとカラーバリエーションが選べるのもポイント。サイトのインテリア作りにこだわりたいおしゃれキャンパーにおすすめです。■サイズ長さ191×幅65×高さ43cm
アイテム4
『キャプテンスタッグ』キャンピングベッド
M字型に閉じて収納、開くだけで設置できる簡単コット。折りたたみ式の四つ脚タープと同じ構造なので、女性でも簡単に設置できます。サイドポケットも付属しているので、スマホや文庫本、ペットボトルなどの収納もOK。■サイズ長さ183×幅67×高さ51cm
アイテム5
『ヘリノックス』タクティカルコット コンバーチブル
縦方向に接続した2本のポールを並行に差し込むのは、よくあるコットの仕様ですが、ここからが『ヘリノックス』ならでは。脚の取り付け方は独自のレバー構造を採用しているので、女性や初心者でも簡単! カシャンとレバーを倒すだけで、座面にしっかりとした張力を生み出してくれます。オプションの脚を取り付ければハイコットにもなります。■サイズ長さ190×幅68×高さ16cm(レッグを取り付けると高さ38cm)
▼視点2:コンパクトに収納できるコットはこちら!
電車でリュックを背負ってのキャンプ登山はもちろん、オートキャンプの際もトランクの積載にスペースをとるタイプより、コンパクトにたためて軽量なコットのほうが良いという方におすすめのモデルを厳選しました。
アイテム6
『サーマレスト』ラグジュアリーライト ウルトラライトコット
キャンパーの間では名品ローコットとして有名なこちらは、数年前に座面の素材が新しくなって話題になりました。薄手で軽いリップストップナイロンの裏面はサーマキャプチャーと呼ばれる遮熱素材で、冬場は底冷えを防ぐとともに体温の反射熱で暖かく寝ることができます。しかも収納時の長さ41cmは驚異的な小ささで、積載時はもちろん自宅での収納時にも省スペース。重量も約1.2kgとバイクにもリュックにも余裕です。■サイズ長さ183×幅61cm
アイテム7
『クオルツ』 2WAY ライトビーム コット
収納時には長さ50cmでも高さ17×厚み19cmと両手のひらでつかめるほどの細さに丸められるので、積載時のスペースが小さくてすむところが便利なモデル。脚部パーツの差し込み口を変更すると、高さが36.5cmと22.5cmの2段階に調節可能です。こちらも頭部にフレームがないので、コツンとならないところも良いですね。■サイズ長さ191×幅61.5×高さ36.5/22.5cm
アイテム8
『motomo』バッグインベッド
おそらく業界最小収納モデルじゃないでしょうか。収納すると長さ38cm、直径16cmほどになりますから。軽量かつコンパクトなコットとして、人気を博したエポックメイキングなモデルです。バイクに積んでツーリング、リュックにくくりつけて登山やハイキング、車が入れない山キャンプやフェスのときにも楽に持って行けます。■サイズ長さ190×幅70×高さ17cm
▼視点3:ベッドが幅広で寝やすいタイプも捨てがたい!
コットは横幅があるほうが、寝返りも打てるし寝やすそうと思われるかもしれませんが、実はやわらかいベッド面に身を沈めると、意外にゴロゴロしなかったりします。それでも体が大きい方や、大の字になりたい! という方のために、広々サイズのコットを選んでみました。
アイテム9
『バイヤーオブメイン』イージーコット
1880年創業の『バイヤーオブメイン』は、米軍に野外家具を納品してきた実績あるメーカー。二つ折りにして簡単収納できるイージーコットは、幅広の座面が人気のモデルです。重量は9.5kgとちょっと重いですが、その分耐久性に優れていると評判。自宅のベッドとして常設して使っている人もいるぐらい人気があります。■サイズ長さ198×幅78.7×高さ45.7cm
アイテム10
『コールマン』トレイルヘッドコット
人気の『コールマン』から価格もお手頃なコットをセレクト。家族分揃えたいときには、価格がお手頃なモデルが良いですからね。幅87cmの広々設計で、スチールフレームならではの頑丈さは備わっていますが、耐荷重量が80kg制限ですので体重が重い人には向かないようです。■サイズ長さ190×幅87×高さ40cm
アイテム11
『ティトンスポーツ』アウトフィッターコット
『ティトンスポーツ』はアメリカ・ユタ州のアウトドアギアメーカー。フレームはアルミ、脚はスチールと部材を使い分けることで、少しでも軽量化を図りつつ耐久性にも考慮したコットは、組み立て時のピポットアーム構造を特許取得しているなど開発力も優れています。幅100cmというシングルベッド並みの広々サイズ。■サイズ長さ210x幅100×高さ約50cm
アイテム12
『ロゴス』グランベーシック ベッドスタイル ビッグ コット
ベッド幅111cmはフレームの分を差し引いても、シングルベッド並みのビッグサイズ! フレームのアシストバーを使うことにより組み立ても簡単です。小さなお子さんと2人で寝るのにもちょうど良いのではないでしょうか。コットをすっぽり覆えるカバーもオプションで用意されていて、これを被せればまるで自宅のベッド状態。封筒タイプの寝袋を掛け布団にすればグランピング気分を満喫できます。■サイズ長さ217×幅111×高さ51cm
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池田 やすゆき
「FINEBOYS」編集部を30歳で独立。以後フリーのファッションエディター&ライターとして「MEN’S EX」「LEON」「GQ」「AERA STYLE MAGAZINE」など各メンズ誌・WEB版のほか、企業広告、オウンドメディアにて執筆。BBQインストラクター、第二種電気工事士など資格多数。目下の目標は危険物取扱者乙種4級取得。
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キャンプ用寝具