児島産の実力派。ジョンブルのジーンズならではの魅力を読み解く
デニムの聖地として知られる児島のなかでも屈指の歴史を誇る老舗、『ジョンブル』。その歴史から物づくりへのこだわりまで、詳しく紐解きます。老舗にして気鋭。児島で生まれた『ジョンブル』の歴史
多くの児島ブランドと同様に、学生服の製造にルーツを持つ『ジョンブル』。その前身となるカネワ被服が創業したのは1952年のこと。その後、国産ジーンズの製造をスタートし、1967年に現在の『ジョンブル』というブランド名に。児島ブランドらしいガッチリとしたセルビッチデニムのみならず、フレックスシリーズやWストレッチシリーズなど独自開発のストレッチデニムを積極的に使用していることも特徴で、ストレスフリーなスキニーやスリムジーンズが高い人気を博しています。また、5ポケットジーンズの型にはまることなく、デニムらしい重厚なタッチを残しつつパターンワークで軽快な着心地を実現したり、あえてライトオンスの生地を用いてモダンなデザインに仕上げたりと、デニムという素材を知り尽くしたモノづくりこそが『ジョンブル』の真骨頂です。
『ジョンブル』のジーンズが持つ3つの魅力
今では単なるジーンズブランドにとどまらず、シーズンごとにテーマを設けてトータルでアイテムをリリースするコレクションブランドへと成長した『ジョンブル』。その原点であるジーンズづくりにおいても、従来の枠組みに囚われない自由な発想のもと独創的な試みを行っています。
魅力1
個性溢れるプロダクトライン
定番モデルやシーズンテーマに合わせて発表される新作のほかに、1930年代から1970年代にかけてのワークやミリタリーなどのアメリカンヴィンテージをベースにしたIDシリーズや、2方向ストレッチデニムを使用したコンフォートなWストレッチシリーズなどもラインアップ。いずれもタイムレスなデザインのため、『ジョンブル』だけでなく他のブランドのアイテムとも相性良好です。
魅力2
派生ブランドにも注目
『ジョンブル』ではスタンダードなアイテムやシーズンテーマを反映したモノづくりを行うベーシックラインから派生し、MADE IN JAPANを中心に素材や産地にこだわってジェンダーレスなモノづくりを行う『アティックバイジョンブル』、自社工場に残るアーカイヴやデッドストックを活用してリプロダクトする『リベアバイジョンブル』といった別ブランドも誕生。それらのアイテムは個性を放つデザインのものが多く、着こなしの中に1点取り入れるだけでコーディネートがまとまります。
魅力3
自社工場でおこなわれるリペアサービス
せっかく手に入れたお気に入りのジーンズは長く愛用したいもの。経年変化もジーンズの魅力ですが、そのままでは履けなくなるほどダメージを受けたときでも『ジョンブル』なら大丈夫です。直売店やWeb上でリペアの相談を受け付けています。今ではジーンズリペア専門店がたくさん存在していますが、『ジョンブル』では自社工場でリペアを行うため、大切な愛用品を預ける際も安心です。
『ジョンブル』のジーンズ。大人におすすめしたい10モデル
定番モデルからシーズンアイテム、サブブランドに至るまで幅広いラインアップのジーンズを有しているのが『ジョンブル』の魅力。ここでは『ジョンブル』中でも特徴溢れるアイテムたちをピックアップして紹介します。
アイテム1
スウィッチジーンズ
アウトドアウェアで見られる前見頃と後ろ身頃の間にマチを設けることで股関節の可動域を確保したパターンを採用。股上が深くヒップの落ちたサルエルパンツのようなシルエットに、ヴィンテージライクな色落ちをみせるデニム生地を用いることでコントラストをつけています。
アイテム2
ラインデニムイージーパンツ
軽量なデニム生地を使用し、ウエストをイージー仕様にすることで部屋着と外出着のどちらにも対応できる着心地とルックスを実現。サイドに施されたラインテープのおかげでどこかジャージのようなスポーティさも感じるため、ストリートやスポーツMIXなスタイルに合わせてはいかがでしょう。
アイテム3
フレックススリムテーパードジーンズ
すっきりとしたスリムなシルエットですが、緯糸に通常よりも太い210デニールのポリウレタンを使用することで強いストレッチ性とキックバック性を備えた独自開発の生地を使用したフレックスシリーズのストレッチジーンズ。ジップフライで程良くテーパードのかかったシルエットはコーディネートを選ばず合わせやすく、ノンストレスなはき心地のためデイリーに着用できます。
アイテム4
ライトフレックスジーンズ
ブランド定番のストレッチ素材を使ったフレックスシリーズを夏仕様に軽量化したライトフレックスシリーズの1本。緯糸にストレッチ双糸を使用し、軽量ながら強いストレッチ性や復元性を有しています。すっきりとしたアンクル丈も爽やかさに拍車をかけてくれるでしょう。
アイテム5
ダブルストレッチテーパードジーンズ
こちらは同じく『ジョンブル』のストレッチジーンズの中でも横方向だけでなく縦方向にもストレッチ性をプラスしたWストレッチシリーズの1本。緩やかにテーパードしたスリムストレートのシルエットで、コットン100%のような重厚な質感を残しつつ、ストレスフリーなはき心地を実現しています。
アイテム6
ワイドジーンズ
オーセンティックな5ポケットジーンズのデザインを踏襲しつつワイドなシルエットに変更し、10オンスのコットンリネンで仕立てたIDシリーズのバギーパンツ。リネン特有の柔らかなシャリ感やシワ感を備えており、カジュアルさもありつつ上品にはきこなすことが可能です。
アイテム7
ルーズテーパードジーンズ
こちらもIDシリーズの1本で、13オンスのデニムをベースに90年代のケミカルジーンズを彷彿とさせるムラ感のある色落ちを採用。もも周りはルーズフィットで裾にかけてテーパードするシルエットも当時の雰囲気ですが、現代的に再解釈されており無理なく今のコーディネートに取り入れられます。
アイテム8
5ポケットワイドジーンズ
50年代に登場し、女性の間で人気を博したワイドジーンズをデザインソースに、ユニセックスではけるようにヒップやウエスト周りをアップデートした『アティックバイジョンブル』の1本。『ジョンブル』オリジナルのセルビッチデニム生地を使用しており、経年変化も楽しみです。
アイテム9
クラフトダイジーンズ
ベーシックな5ポケットジーンズをベースに、職人が1点ずつタイダイ染めを行った『リベアバイジョンブル』のジーンズ。ポケット口やベルトループのステッチはボディの色に合わせて配色されており、柄は1点ずつ微妙に異なるため、オンリーワンの1本として所有欲を満たしてくれるでしょう。
アイテム10
パッチワークジーンズ
これぞ『リベアバイジョンブル』といえるマスターピースが、こちらのパッチワークジーンズ。自社工場に残されたデットストック生地や金具を職人が1点ずつ組み合わせながらベーシックなジーンズとして仕立て直したもので、世界に1本しかないデザインを手にすることが可能です。
存在感満点。『ジョンブル』のジーンズの着こなし方
ベーシックな5ポケットジーンズにとどまらず、デザインコンシャスなデニムパンツを大量にラインアップしているのが『ジョンブル』の魅力。それゆえに着こなしの幅も多彩なのです。以下のコーディネート例をチェックし、スタイリングのイメージを膨らませましょう。
コーデ1
セットアップをサイズと色でアレンジ
『ジョンブル』の2nd風ジャケットにジーンズと、デニムをメインに使ったコーディネート。トップスとボトムスでデニムのカラーを変えることで、難易度高めなセットアップを無理なく着こなしています。ワンサイズ大きめのサイジングや裾のレイヤードで抜け感もプラスしています。
コーデ2
フェードジーンズで作るブリティッシュ
『ジョンブル』のモッズコートとジーンズを基調に、フェルトハットやラバーソールといった小物使いで英国感をさらに追加。ゆったりとしたコートのシルエットに対してスリムテーバードで色味も薄めなジーンズを組み合わせることで軽さが加わっています。
コーデ3
正統派なワークの着こなしを素材でアレンジ
『ジョンブル』のペインターパンツとカバーオール、『スタイリストジャパン』のキャスケットと、30~40年代のワークススタイル直球のコーディネート。ヒッコリー柄やシャンブレー素材を取り入れることで、重くなりがちなワーク系の着こなしに軽さをプラスしています。
コーデ4
ビッグ&ルーズなボトムスでインパクト
『ニコラスデイリー』のパーカー&ベストをアンサンブルで着用し、『ジョンブル』の超ワイドなシルエットのジーンズでアクセントをプラス。ドロップショルダーながら短めの着丈のトップスがルーズなボトムスと好コントラストを描いています。
コーデ5
迫力抜群なパッチワークのセットアップ
『リベアバイジョンブル』のジャケットとパンツをコンビで着用し、セットアップ感を演出したコーディネート。“インディゴと和と職人技”という『キャピタル』や『ポータークラシック』、『ヴィズヴィム』などの人気ブランドとも共通する世界観に仕上がっています。
アメカジ&アメトラを中心にラギッドな視点で解説
那珂川廣太
バイク専門誌と男性向けライフスタイル誌で編集を約8年務めたのちに独立。ファッションはアメリカンカジュアルからトラッドまで幅広く執筆を行い、特にブーツやレザー、ジーンズ、古着など男臭いアイテムの知識が豊富。また乗り物やインテリア、フードまでライフスタイル全般にわたって「ラギッド」を切り口に執筆する。