ド定番スニーカーの30周年記念モデルが登場。しかも、2モデルも

社会現象を巻き起こした“95”に象徴されるように、『ナイキ』の「エア マックス」がファッションシーンに与えた影響、功績はあまりにも大きい。その礎を築いたのは、ファンクションとファッションの両輪を高い次元で結実させた「エア マックス 90」といって差し支えないだろう。そして、誕生30年の節目を迎えた2020年、新たな「エア マックス 90」が日の目を見る。その姿は、同作へのリスペクトと同時に未来をも我々に示してくれる。

こちらの「エア マックス 2090」は、進化への意気込みを示しながらオリジンへのリスペクトも忘れない革新的な1足。オリジンのファーストカラーは、イタリア車から着想を得ていることは有名だが、本作もまた未来の交通機関をイメージしている。ヘッド＆テールライトを表現したトゥやヒール、電気自動車を参考にした配色はその証左。エアユニットやそれを覗かせるウインドウを拡大し、サポート比重の高い部分を黒で強調。アウトソールの凹凸パターンも変更するなどパフォーマンスの向上にも余念がない。また、ソール上に位置するマッドガードと下部が隠れたスウッシュにもこだわりが。エアユニットを囲むカセットにクラシックヒールロゴと、各所に見られる言わずと知れた同作を象徴するレガシーには、オールドファンも心くすぐられるに違いない。

そして、名作の系譜を受け継ぐもう1つのモデルがこの「エア マックス90 フライイーズ」。フライイーズとは、“開閉しやすい”、“着脱しやすい”、“さまざまな足の形やサイズに対応できる調節機能”のデザイン基準のうち2つ以上に適合していなければ名乗ることはできない『ナイキ』の新たなデザイン哲学。本作ではヒール部分に柔らかく形状を損なわない素材を採用することで、足入れをスムーズにし、まるで包み込むようなフィッティングを提供する。

テクノロジーの世界は日進月歩。新たな技術の開発は、過去の技術への決別を意味する。そんな定説を覆し、30年という月日を経てもなお現代にその威光を示す「エア マックス 90」はやはり偉大というほかない。この2足を見るにつけ、改めてそれを実感する次第。

Text_Ryo Kikuchi